komorebipetclinic’s diary

スタッフが日々感じたことをお伝えしていきます

【症例紹介】食欲の低下と嘔吐で来院した猫ちゃん|尿管結石による尿毒症

■ 飼い主さんが気づいた異変

今回ご紹介するのは、5歳のスコティッシュフォールドの女の子(避妊済)です。

1週間ほど前から「なんとなく元気がない」「ごはんの食いつきが悪い」と感じられていたそうです。
当日の朝には血尿も確認され、急いで来院されました。

■ 診察と検査の結果

診察時には脱水と軽度の発熱(39.3℃)、そして頻回の嘔吐が見られ、全身状態はかなり悪化していました。

まずエコー検査で、両側の腎盂と尿管の拡張を確認(右>左)。

 

左腎臓

 

 

右腎臓

 




続くレントゲン検査では、尿管部に明らかな結石の陰影が見られました。

拡大像

 

血液検査の結果は以下の通り(全て基準値より高値)

  • BUN:127.5

  • Cre:11.6

  • K:5.2

  • IP:6.7

これらの所見から、両側の尿管結石による尿の通過障害(尿管閉塞)と、それに伴う尿毒症および腎盂腎炎と診断しました。

■ 初期治療と手術方針

まずは静脈点滴による水和治療を開始し、抗生剤・消炎剤を投与

翌日、全身状態を再評価した上で、開腹による両側の尿管切開術を行いました。

腎盂の拡張は軽度だったため、腎瘻チューブの設置は困難と判断。
尿管を切開して結石を摘出し、縫合処置を行いました。

 

 

摘出した結石(1-2mmほどの小さな結石ですが、詰まることで命に関わる状態に...)

 

 

術後の写真

■ 術後のトラブルと対処

手術後、閉塞解除による利尿が強く、尿量が急激に増加しました。
その結果、尿管縫合部から少量の尿が腹腔内に漏れ、腹水として貯留しました。

 

再手術も検討しましたが、これは一時的な現象と判断。
腹水の抜去および腹腔洗浄を行い、以降は再貯留もなく経過は安定しました。
入院は3日間で、順調に回復して退院となりました。

■ 術後の状態と今後のケア

術後4日目の血液検査では以下のように改善していました:

  • BUN:36.7

  • Cre:1.51

  • K:3.8

  • IP:5.3

食欲・元気も回復し、安心できる状態まで改善していました。

初診時には「命に関わる状態」とお伝えしたため、飼い主さんも大変不安な様子でしたが、
経過が良好だったことで、非常に安心されたご様子でした。

退院後は、ラプロス(腎線維化抑制薬)を処方し、今後の腎機能低下を予防する内服を継続しています。

■ 院長よりひとこと

尿管結石は、初期には「食欲が落ちた」「なんとなく調子が悪そう」といった、見逃されがちなサインから始まります。

また若齢の子でも体質などにより尿管結石が形成されることも多く、注意が必要です。

進行すると、命に関わる重大な病態(尿毒症)へと急速に悪化します。

今回は、飼い主さんが「おかしいな」と思ったタイミングでご来院いただいたことで、
適切な診断と治療に繋げることができました。

「何となく元気がない」「食欲が落ちた」

そんな時は、ぜひお早めにご相談ください。