無駄吠えとは、吠える必要のない場面で吠えることです。犬にとって“吠える”という行動はごく自然な行動ですが、それが人間にとって都合が悪い、対応に困る場合に“無駄吠え”と解釈されます。
以前は犬を番犬として庭で飼う家庭も多くありましたが、最近では大型犬もコンパニオンアニマルとして室内で一緒に暮らす人が増えました。こうした背景があるなかで、都会の集合住宅に住むご家族にとって、長い時間大きな声で吠えている無駄吠えは問題になることが多く、なんとか吠えるのをやめてほしい、と考えている方も多いのではないでしょうか。
無駄吠え(過剰咆哮)の原因・種類
それは、その子の性格や成長期の生活環境、今の生活状況が大きくかかわっています。もともと犬が吠えるのは自然な行動であり、犬種による遺伝もあります。吠える傾向にあるのはビーグル、ダックスフンドなどのハウンド種、ジャーマン・シェパード・ドッグなどの牧羊種、ミニチュア・シュナウザーなどのテリア種、チワワやプードルといった愛玩種などです。
日本では欧米と比べて吠えることが問題視されがちですが、それは日本での飼育環境が背景にあると考えられています。どうしても日本では十分な生活スペースを確保することが難しく、エネルギー発散が不十分な場合、ストレスによって吠えるという行動につながってしまいます。また、子犬が母犬や兄弟犬と離れる時期が早いことも多く、不安を感じやすい、犬同士の社会化不足となった結果、吠えるという行動をとります。
犬が吠える目的には色々な種類があります。
治療
治療の一例① ~コマンドに従う~
例えば散歩中に出会う犬や人に吠えてしまう場合、犬や人との距離はしっかりあけた上で、吠える前にお座り、などのコマンドを出してご褒美を与えます。そのまま継続しておやつを与えれば、他の犬や人よりもおやつに気を取られ、吠えずにその場を終わらせることができます。これを繰り返すうちに、他の犬や人の存在に気付いても吠えずにご褒美を待つようになります。
こちらの出すコマンドに反応したらご褒美、というのを何度か繰り返します。初めはできなくても、毎日少しずつ練習すれば出来るようになると思います。
ちなみにこの練習を終了するときには、最後はワンちゃんが必ず従うコマンドを指示し、成功してご褒美を与える、という方法をとり、楽しく終わらせてあげてください。
治療の一例② ~刺激に対しての系統的脱感作、報酬を使った逆条件付け~
玄関のチャイムが鳴ると訪問者に対して吠える場合を例に挙げてみますね。
② 「まて」をその場所で教える(参考: https://wan-nyan-kurashi.com/dog/mate/)
③ 「まて」をしている間録音したチャイムの音を小さい音で鳴らす
④ 「まて」のまま、吠えなかったら報酬を与える。吠えてしまったら、もっと小さい音にして②の「まて」からやりなおし。
⑤ 「まて」→ピンポン→吠えずに待てた→ご褒美 がうまくできたら、ピンポンの音を少しずつ大きくして③から⑤を繰り返します。
⑥ ドアの前で「まて」→玄関を開け閉めする→待てていたら報酬、吠えたらやり直し
⑦ 上記のように刺激を少しずつ足して録音したピンポンが鳴っても、玄関の所に行っても吠えずに「まて」ができるようにします。
② 協力者には外にいてもらって何度も呼び鈴を押してもらい、都度「まて」をさせる→吠えなかったら報酬、吠えたら、「まて」のやり直し
③ ②の方法は興奮して難しい場合、犬が知っている人に呼び鈴を押してもらい、中に入ってその人に犬におやつを与えてもらう
④ 知り合いでできるようになったら、犬が知らない人に呼び鈴を押して入ってもらい、ご家族がおやつを与える。
⑤ 徐々におやつを与える前に「おすわり」「まて」をさせてから報酬を与えるようにする
治療の一例③ ~負の罰~
さいごに
それでも、問題行動がなくなれば、ワンちゃんとの絆はさらに深まり、お互いに楽しく過ごせるのではないかと思います。もしなにかワンちゃんの行動で困っていることがある場合、一度相談してください。一緒に解決方法を探していきましょう。